35歳までに転職経験を持つべし!知的好奇心を刺激される仕事観

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2016.07.22

suzie.20160721

キャリアや仕事に関する価値観が大きく変わるなか、ぜひ読んでおきたいのが、る『WORK MODELS 世界で働く日本人から学ぶ21世紀の仕事論』(太田英基著、いろは出版)。

世界を旅しながら「サムライバックパッカープロジェクト」という試みを通じ、世界を舞台に奮闘する人たちと出会ってきたという著者が、新たなワークスタイルを実践する13人にスポットを当てた書籍です。

その根底に根ざすのは、「世界と時代の最先端で働く彼らの仕事観やキャリア観には、これからの時代を生きていく日本人にとっての多くの学びがあるはずだ」という思い。

そもそも著者本人がグローバルの「グ」の字も持たないような、「海外」や「世界」という言葉とは遠い場所で生きてきた人間だったと言いますが、だからこそ、「彼らの生き方からは、きっと多くのものが学べるはずだ」と確信しているのだそうです。

きょうはそのなかのひとり、Amazonブラジルでプロダクトマネージャーを務めているという石丸浩司さんのケースから、年齢に関する2つの質問をピックアップしてみましょう。妻と子ども3人を残し、40歳でブラジルに単身赴任したという人物です。

■1:転職のデッドラインは何歳でしょうか?

石丸さんは、35歳までに転職を経験しないと、とても環境の変化にはついていけないと考えていたのだそうです。なぜなら、新しい職場に対応する能力は、年齢とともにどんどん低下していくから。

また同時に、「unlearn(アンラーン=過去に学んだことを壊す)」には年齢の限界があるともいいます。著者が35歳で転職したコンサル会社では、徹底的に経験や実績を「ゼロ」にするように仕込まれたのだとか。

なぜなら、「昔はこうやっていたんで、こういうのがいいと思います」「私の経験上、こういうのがいいと思います」といったことは、コンサルの世界では通用しないから。

そして、いまブラジルという異国の地でどんなことにも対応できているのは、35歳で「unlearn」の機会があったからだといいます。

また注目すべきは、Amazonもほとんどの社員が35歳以下で転職してきているという点。

それを踏まえたうえで著者は、世界的に見れば「日本は転職をしなさすぎている」と指摘します。清い転職であれば、それはキャリアを形成するうえでとても重要なステップだというのです。

ただし、日本でキャリアを積むうえでも、ひとつだけ重要なことがあるとも主張します。それは、35歳までに転職経験を持つこと。

次の職場が海外であるか日本であるかは関係なく、35歳を超えても転職のないキャリアでは、新たな職場で成功するためには苦労が多くなるというのです。

■2:40歳までのキャリアをどのように描いてきましたか?

40歳までのキャリアをどう描くべきか?

この点については、ポイントが2つあると石丸さんはいいます。まずひとつは、「自分のものさしはなにか」ということ。もうひとつは、「自分の給料は自分で決める」ということだとか。

石丸さん自身は、キャリアを描く際には、直感ではなく、ものすごくいろいろな選択肢を考えるのだそうです。そのとき忘れてはならないのが、「自分のものさしはなんだろう?」ということ。

たとえば、それまで勤めていた公団を辞めてコンサルに転職する際、「お前は残っていれば20年後には社長になれるのに」と多くの人にいわれたのだといいます。

ところが、20年後に社長になるということは、自身の価値基準(ものさし)においては高いものではなかったというのです。そもそも、20年後に会社があるかどうかもわからない。だったらそれよりも、別の可能性にかけることを選んだというわけです。

一方の「自分の給料は自分で決める」は、当たり前のようで、しかし日本人があまり意識できていない点だと指摘します。

大学の同期で公務員として働いている人と話すと、来年の給料がどうなのかをすごく心配しているのだそうです。公務員の場合、翌年の給料は人事院の勧告で決まりますが、キャリアを自分でしっかりと描くことができれば、自分の給料を自分で決めることは可能。

もちろん実際は自分が決めたり、自分で交渉したりするわけではありませんが、いまの職場の待遇に満足できないのであれば、他に移ればいい。

つまり、「いつだってもっと高いところにステップアップすることを選べる」という意味においては、自分で給料は決められるということになるという考え方です。

そして給料だけではなく、海外に住むかどうか、はたまたいつ帰ろうかなど、さまざまな選択もまた、自分で決められるということです。

こうした考え方からもわかるとおり、本書に登場する13人の生き方には、ひとつの共通項があります。日常的に世界と対峙しているからこそ、揺るぎない自信を身につけているということ。

そしてそれこそが、本書の提示する「ワークスタイル」の本質なのかもしれません。だからこそ本書は、読者の知的好奇心を強く刺激してくれることでしょう。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※太田英基(2016)『WORK MODELS 世界で働く日本人から学ぶ21世紀の仕事論』いろは出版

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