一夫一妻の哺乳類は5%未満!人が「不倫する理由」を科学で解明

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2016.09.03

furin

2016年は有名人の不倫が次々と発覚し、話題となっています。

しかし、一般の人の間でも不倫のハードルは年々下がっているといいます。一昔前にくらべ、女性の間でも「結婚と恋愛は別もの」という考え方が浸透してきているのも特徴だそう。

『人はなぜ不倫をするのか』(亀山早苗著、SBクリエイティブ)は、ジェンダー研究や昆虫学、動物行動学など8つのジャンルの学者が、著者との対談形式でそれぞれの専門分野の見地から不倫を解説した書籍。

「なぜ不倫は悪なのか?」「なぜ悪だとわかっていて不倫をしてしまうのか?」と、いろいろな視点から見ること二よって、不倫の根本的な問題が見えてくるかもしれません。

今回は本書のなかから、3つのジャンルをピックアップしました。

■1:オスとメスは別々に行動すると浮気する(動物行動学)

哺乳類で一夫一妻の形をとる動物は約3~5%だといわれているそうです。チンパンジーは乱婚的でゴリラは一夫多妻、テナガザルは一夫一妻。

哺乳類のオスは子育てに関わらないことがほとんどですが、一夫一妻の場合はメスが他のオスに取られないように、夫婦がいつも一緒にいるのが普通だといいます。

鳥は90%近くが一夫一妻で、巣づくりも餌取りも夫婦一緒に行います。しかし、そのような活動の最中に別行動をとるとオスメスともに浮気をすることがあるといいます。四六時中一緒にいないと浮気を防ぐことができないのです。

メスは本能的に、いまの相手よりも免疫力が高い「いい遺伝子」を持つ相手がいれば、それを取り入れようとします。

オスはいい遺伝子の象徴として、美しい羽や長い尾羽をアピールします。動物は自分の遺伝子を滅ぼさないために本能的に行動しているというのです。

これは動物学的には「不倫」ではなく「浮気」といえるでしょう。

オスは射精しても比較的早く精子が回復するため、数を撃ってチャンスを追求する傾向にありますが、メスは妊娠・出産・子育てに年単位の時間を要するので、軽率に相手を選ぶわけにはいきません。

だからこそメスはいい遺伝子を見極めることが重要で、浮気であろうと夫より質のいい遺伝子がほしいというのが本能なのです。

■2:現在の不倫は「個人」によって罰せられる(宗教学)

日本では第二次世界大戦が終わるまで姦通罪が存在しました。これは「夫のいる女性」と「その女性と性的関係を持った男性」に適用されるもの。

当時の日本は家父長制が強く、男は妻の面倒を最後まで見る義務があるとともに、妻は夫の財産としての扱いでもありました。

そのため夫の「所有物」である女に手を出したり、夫の庇護下にある女が別の男と関係を持ったりすることは「所有物の侵害」になり、罪となっていたのです。

また、仏教の五戒(信者が守る基本の5つの戒)には「不邪婬戒」(不道徳な性行為を行ってはいけない)というものがあります。

このような仏教の思想や姦通罪の影響により、近代以降「不倫はいけない」という考え方が浸透していきました。

しかし、いまの日本では不倫は宗教でもなく法律でもなく、「人」によって罰せられるものになっています。「不倫はいけない」と誰もがなんとなく思ってはいるものの、なにに基づいていけないとされているかは曖昧です。

現在は宗教や法律の縛りがないからこそ、不倫が発覚すると個人の判断ややっかみなどによってバッシングされてしまうのです。

■3:不倫だからこその「安心感」で抜け出せなくなる(心理学)

既婚者とつきあう独身女性には、「最終的に自分は選ばれない」とわかっているからこそのめり込んでしまうというケースも多いそうです。

もちろん本当は選ばれて結婚したいという思いはありますが、「選ぶ」という行為には必ず「結果」がついてきます。それが怖いから逃げようとしてしまうということ。

また、恋愛にはつきものの「ひょっとしたら選ばれないかもしれない」という不安ではなく「最終的なパートナーとしては選ばれなくて当然」という安心感があるからこそ、どっぷりと不倫に浸かってしまう人もいます。

恋愛の場合はつきあっていくうちに、「こんな人だとは思わなかった」という場面に遭遇するもの。そのときには別れるか、相手の真の姿を受け入れるかを選択して次のステージへ進んでいくでしょう。

しかし、不倫の場合はいつも一緒にいられるわけではないので、相手の嫌な部分や、自分と合わない部分を発見しづらいのです。

パートナーとして次の段階に進むことなく、いつも刺激的な関係でいられるので、なかなか抜け出せなくなってしまいます。

心理学的に、不倫によって自分の心のバランスを保ったり、不足を補ったりということもなくはありませんが、ずるずる続けているとよい結果にはならないでしょう。

著者は17年にわたり一般の人の不倫について取材をしていますが、「誰にでも不倫をする可能性はある」といいます。

恋愛に関してハードルが低い人も、絶対に不倫はいけないと思っている人も、家族の不倫で悩んだ人でさえも不倫をしてしまうことがあるそうです。

しかし、いうまでもなく不倫は大きなリスクを伴うもの。取り返しのつかない事態を招きかねないことをお忘れなく。

(文/平野鞠)

 

【参考】

亀山早苗(2016)『人はなぜ不倫をするのか』SBクリエイティブ

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