小さな会社でも世界一になれる!愛されブランドに必要な10か条

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2016.09.05

suzie.20160903

『世界ナンバーワンの日本の小さな会社』(山本聖著、クロスメディア・パブリッシング)は、日本が誇る世界ナンバーワン企業の「ニッチ・トップ戦略」を徹底的に取材し、そこから「小さな会社がすべきこと」を探った書籍。

世界的に注目されているジャパニーズ・ウィスキー『イチローズモルト』を生んだ埼玉県秩父市のベンチャーウイスキーや、宮内庁御用達・日本唯一の馬具メーカー・ソメスサドルなど、小さいながらも大きく成長した企業の成功例が紹介されています。

しかし気になるのは、小さな会社になぜ世界ナンバーワンを目指せるのかということ。

著者によれば、地元に愛され、独り立ちするブランドづくりに必要な10か条があるのだそうです。

■1:ニッチ・トップ戦略

ニッチ・トップ戦略とは、「比較的規模の小さい市場において圧倒的なシェアを誇る企業」のこと。

ただし、どれだけニッチな市場であれ、大企業や海外企業の参入は世の常。

そこで、「圧倒的なシェアは永遠に続かない」「或る日突然競合が参入してくることはあり得る」ということを前提に、ニッチ・トップ戦略に肉づけをしていくことが重要だといいます。

そこで、中小企業事業者の強みを加えて3つの定義づけをしたうえで、このニッチ・トップ戦略を推奨しているのだとか。

(1)【一般的定義】比較的小さい市場において圧倒的なシェアを誇る事業の創造

(2)【新定義】事業者と消費者がお互いに顔の見える「圧倒的な超特定顧客」の獲得

(3)【新定義】事業者の都合で成り立つ「のれん商売できる屋号」の確立

■2:アイデンティティー

注目が集まっているクラウドファンディングがそうであるように、「まだ商品は影も形もない」状態であっても、思い描いている情熱や夢をしっかりとプレゼンテーションできれば、応援してくれる人が現れる可能性があるということ。

■3:社会貢献

法政大学大学院の坂本光司氏のベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)の中には、企業の社会貢献についての次のような記述があるそうです。

「会社の社会的貢献とは、お客様にとって、社員にとって、そして地域にとって存在価値のある、なくてはならない会社になることです。地域社会に住んでいる方々が幸せを感じられるような存在になる使命と責任が、会社にはあるのです」

地域内で愛されない企業は、地域外から愛されることはないもの。実際に愛されるための努力をしている企業こそ、地域外からも応援されるようになり、結果的にそれが会社の成長につながるということです。

■4:団体戦

市場展開に際しての中小企業のネックのひとつは、商品の数で勝負ができないこと。そのため生産量やマンパワーの弱点を補える可能性がある戦術が必要になるわけで、それが「団体戦」だというわけです。

具体的には、特定のテーマに合わせて複数の企業を集め、統一のブランド戦略(共通の屋号)のもと、商品開発と流通を行っていくことが大切だという考え方。

■5:メイドインジャパン

全国で注目されているのが、地域特性を活かしたブランディング手法。

かつては首都圏のマーケットに商品を合わせて売り込む一方通行のスタイルが定石でしたが、いまは地域色を出したほうが支持される時代になったということ。

そして、そうだとすれば当然のことながら、「メイドインジャパン」であることが大きな力になるわけです。

■6:マーケティング

経営者にとっての重要な能力は、“市場を読み解く肌感覚”。そのためにも日ごろから現場に出て市場を知り、本物を体験し、時代を感じることが欠かせないと著者は主張します。

そしてカルチャー&クオリティの消費マインドへのシフトは、「上質かつ普遍的な商品」の領域での競争となるため、日本全国の地域ブランド、ファクトリーブランド、中小の製造業にとって勝機がある分野だといいます。

■7:ターゲティング

「この商品、誰が買うんだろう」と思ってしまうような、ターゲットがぼやけた商品は、バイヤーにも消費者にも注目されることはないもの。

しかし、あえてターゲットを狭く定めると売り場や売り方のイメージが湧いてくるため、逆算して商品開発をするのが理想的なものづくり。

端的にいえば、ターゲットは狭くてよいわけです。

■8:品質とデザイン

消費者は、常に新しいものを求めているもの。

だからこそ注目されやすいのは、「日本唯一の馬具メーカーが手がけるバッグ」「戦後日本で初めて認可された小規模蒸留所でつくられる個性的な国産ウイスキー」など「意味」をもたせた新しい商品。

「新しいデザイン」と「新しい商品」は、複眼的・多層的なものとして注目に値するそうです。

■9:シーズンディレクション

「できたときが売りどき」では、なんの計画性もなし。「売りたいとき」を定め、そこに生産計画や販売計画をあらかじめ細かく想定しておく「シーズンディレクション」が重要だといいます。

■10:成長戦略

自社ブランドを立ち上げたら、いきなり東京に直営店を構えるようなやり方はリスクが大きすぎるもの。

むしろ自社ブランドを立ち上げようとしている中小企業の方に対して著者は、「まずは工場にショールームをつくってはどうですか?」とアドバイスしているそうです。

商流を整備するときは、地に足をつけた成長戦略を描くことが望ましいということ。

具体的な成功事例が豊富に盛り込まれているため、大企業主導型の従来的な手法によってではなく、「自分たちにできる範囲で」成功を望んでいる小さな会社にとっては、とても役に立つ内容。

企業人のみならず、「地方から発信していきたい」という意思を持つ個人に取っても、参考になる部分が多いと思います。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※山本聖(2016)『世界ナンバーワンの日本の小さな会社』クロスメディア・パブリッシング

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