独立後10年続くのは「2割」弱!小さな会社が成功するポイント

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2016.09.22

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『新版小さな会社★儲けのルール』(竹田陽一・栢野克己著、フォレスト出版)は、2002年以来のロングセラーを30ページ以上増補し、内容当時の成功事例を最新版にしたリニューアル版。

おもに中小企業を対象としたものではありますが、将来的に独立起業する人などにも適しており、活用範囲の広い内容だといえます。

基盤となっているのは、「ランチェスター法則」。「戦略」と「戦術」の違いを知ったうえで商品・客層・エリアを絞り、小さい部分で1位をつくり、シェアを徐々に拡大していくという考え方です。

それは、中小・零細企業が生き残るために重要なメソッドだといいます。

別な表現を用いるならばそれは、「大企業に競合しない戦略・戦術を打ち立てることで、顧客に忘れられないような戦術を行っていくという『勝つための法則』だということにもなります。

事実、現在までに5,000社以上が実践しており、そのなかには創業期のソフトバンクやセブンイレブン、旅行業者のH.I.Sなども含まれるのだそうです。

そんな本書のなかから、スタート時点で知っておきたい基本的な考え方を確認してみましょう。

■日本にいる大人の14人に1人は社長

大企業に就職し、部長や支店長、取締役などになるのは、たしかに楽なことではありません。

実力に加え、派閥や上司に対する処世術なども必要になるため、長く辛抱する必要があるからです。

しかし現実的に、「社長」になるのは簡単なこと。その証拠に日本には法人企業が200万社近くあり、個人事業主も同程度いるそうです。

つまり企業と個人商店を合わせると、約400万人の社長が存在するのです。日本の労働人口は約5,400万人なので、大人の14人に1人は社長だということになります。

■独立後10年続くのはたった2割だけ

しかし問題は、「続ける」ことの難しさ。

2011年の「中小企業白書」によると、独立して1年で約4割が廃業し、10年間同じ会社を経営している人は2割弱しかいないのだとか。つまり、独立した人の大半は失敗しているということです。

また別のデータによれば、3年以内に取扱商品や業種が8割以上変わっているのだそうです。

コピー機の販売をしていた会社の扱い商品が、2年後には健康食品に変わっていたりすることは、決して珍しくないわけです。いってみればそれほど、独立・開業は思うようにいかないということ。

■倒産は「富の再循環」システムである

著者は東京商工リサーチという企業調査会社に16年間勤め、約3,500社を実際に取材、調査してきた実績を持っているといいます。

また、それとは別に約1,600社の「倒産した企業」も取材してきたのだとか。

倒産取材を1,600件も行うことは精神的にもつらいでしょうが、その過程において、ある意味では倒産・廃業も当たり前なのだと気づいたのだそうです。人と同じように、法人もいつかは死ぬということ。

もちろんそれは、当事者にとっては大事件。

しかし、会社の倒産後に従業員型の企業へ転職し、お客様も他の会社へ流れていくと考えると、それは単なる「富の再循環」であるというのです。

■成功も失敗もその理由の90%は同じ

また著者はおよそ1000社から個別の経営相談を受けているそうですが、そのなかでわかったことがあるといいます。

成功も失敗も、その理由の約90%は共通しているということ。

いまも昔も、経営の3分の2は江戸時代から変わらないルールに基づいたもの。3分の1は時代とともに変わるものの、根本の経営原則あるいは経営戦略は変わらないというのです。

だから、「この基本さえ知っていれば倒産することもなかったのに」「この原則さえ守れば、もっと成功したのに」と、失敗事例を目の当たりにするにつけ、著者自身も悔しさを感じるのだそうです。

しかし、だとすれば、その原則を先に学んでおくことによって、不必要な倒産を避けることは可能だということにもなるはず。そこで本書では、そのメソッドを開設しているのです。

■情報の9割はビジネスに適用できない

大学生は3年生くらいから就職活動をはじめますが、こんな時代であっても、依然として変わらないのが「大企業志向」。

優秀な大学になればなるほど、いまだに「どれだけ大企業・上場会社に就職したか」が競われるわけです。

そもそも、多くの人の価値観に影響を与えるマスコミ自体が大企業。

その情報やCMを集める記者や営業マンも、大企業志向で入社した人たち。そして大企業のCMが集まらないと、マスコミ自体が成り立たないような仕組みができあがってしまっている。

そのため大企業のマスコミからは、中小企業にとって本当に価値のある情報は流れてこないわけです。

いってみれば世の中で紹介されている情報の9割は大企業のためのもの。大企業経営者でない人は、それを自身のビジネスに活用しようとしてもムダ。

そこで、自分に役立つ情報は、自分で集めなくてはならないということです。当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、実のところこれはとても大切なポイントではないでしょうか?

このような、「大切なのに、なかなか気づきにくいこと」を再確認したうえで、本書では「小さな会社の成功法」が緻密に解説されていきます。

成功事例も豊富に収録されているため、その要点を無理なく理解できるでしょう。

中小企業経営者や起業を目指す人、ひいては未来を見据えて経営を真剣に考えている人、あるいは「社会で会社が成り立っていく仕組み」を理解したい人にとっても、必読の書といえそうです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※竹田陽一・栢野克己(2016)『新版小さな会社★儲けのルール』フォレスト出版

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