業務時間の15%は会議!イノベーションを促進する会議のあり方

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2016.10.20

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『プロフェッショナル・ミーティング』(長田英知著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は元政治家で、現在は大手外資系コンサルティングファームのシニアマネジャー兼新規事業部門副責任者として事業開発に携わっているという人物。

国内最大手の生命保険会社を筆頭とする、さまざまなキャリアの持ち主でもあります。

つまり本書ではそんな実績を軸として、「成果を挙げるミーティングを行うための考え方と手法」について解説しているわけです。

■業務時間の15.4%は会議だという現実

NTTデータ経営研究所が2012年10月に行った「会議の革新とワークスタイル」に関する調査によると、会社で開催される会議の全体業務に占める割合は平均して15.4%になるのだそうです。

業種別でもっとも会議の割合が高かったのは通信・メディア業で、会議が業務の約2割を占めていたのだといいます。

つまり週5日勤務の社員は、毎週1日をまるまる会議に費やしている計算になります。

また、同じ調査で「会社で開催される会議等は価値創造(仕事の生産性向上、イノベーションの創出等)に貢献していると思いますか」と尋ねたところ、「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」と答えた人の割合は66.9%。

実に3人に2人は、会社の会議が生産性向上やイノベーションといった価値の創造に貢献していないと答えたわけです。

■外資系企業では会議の業務専有割合が高い

なお外資系企業では会議の業務専有割合が20.1%と、日本企業の平均よりも約5%高い数値を示していのだとか。

一方、会議が価値創造に貢献していないと答えた外資系企業は56.2%で、日本企業の平均よりも10%低い数値となっているのだそうです。

また、さまざまなタイプの会議を、ビジネスプロセスのさまざまな場面に合う形で組み合わせているのが外資系企業の特徴。そうすることによって、「強いチーム」と「確実な目標達成」の実現を図っているというわけです。

著者はこれまで政府・自治体の政策立案、企業における新規事業戦略や実行計画の策定、不採算事業の改革やオペレーション改善といったプロジェクトに携わってきたのだそうです。

そんななかで意識していたのは、「どんなに優れた戦略や実行計画を立案しても、実際に実行されなくては意味がない」ということだったといいます。

■PDCAで真のイノベーションを促進する

先に触れたとおり、著者は政治家からコンサルタントに転身したという異例のプロセスの持ち主ですが、いかに「実行される」戦略や計画を立案するかについて悩んでいたときに思い当たったことがあるのだと記しています。

それは、自分が勤めている外資系企業が、複数のタイプの会議を使い分けることによってビジネスを推進する仕組みを採用しているということ。

そこで、以来、ビジネス戦略・計画の実行を管理する仕組みであるPDCAに対し、PDCAの各場面で適切と思われるタイプのミーティング手法を適宜組み合わせるようにしたのだとか。

そうすることによって、業種、製品、サービス、社風、計画の中身にかかわらず、ビジネスを自然な形で望む方向へと動かし、真のイノベーションを促進できるようになったというのです。

■そもそもミーティングはPDCAを回す動力源

「Plan」「Do」「Check」「Act」からなるPDCAは、もともと工場現場で製造工程を管理し、製品の品質を改善する手法として考案されたもの。

当然のことながら、そんなPDCAをビジネス管理の手段として活用する場合には、より長い時間軸で活動管理を行い、外部影響を考慮した計画調整を頻繁に行うことが必要になってきます。

そしてミーティングは、常に変化していくビジネスの状況を把握し、目的達成の落とし穴がないかを探り、他者との競争のなかで自社を差別化するための対策を適切なタイミングで実行し、PDCAの各フェーズを円滑に回す歯車としての役割を果たしているもの。

つまりミーティングは、PDCAを回す動力源だという考え方なのです。

■ミーティングを有効に活用するためには

本来であれば、社内ミーティングはビジネスを推進させるために行われているはず。しかし多くの人は、ビジネスの現場で会議を行うことに価値を見出せなくなっていると著者は指摘しています。

そこで本書では、ビジネスリーダーを目指す人が、ビジネスミーティングを有効に活用できるプロフェッショナルとなるための基本的な考え方と実践的なコツを明かしているわけです。

一向に進まず、有効なアイデアも生まれない会議の経験は誰にでもあるもの。しかし、ミーティングの設計をきちんと行っておけば、コンスタントに成果を上げ、ビジネスを前に進めていけると著者はいいます。

効率的な会議を実現するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※長田英知(2016)『プロフェッショナル・ミーティング』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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