今年の春、国土交通省が、電車・バスの車内でベビーカーをオープンにしたままでOKの判断を下しました。
子供だけで手いっぱいなのに、荷物まで抱えた状態で、ベビーカーをたたんで電車やバスに乗るというのは、想像しただけでも大変なことですよね。でも、このルールにより、子連れ女性の負担は少し軽くなるはず!
となると、より子育てしやすいこの環境が、出産しやすさ(出生率アップ)につながっていくのでは?
そこで、全国20代~30代の男女各50人に、この国土交通省が示したルールによる「出産しやすさ(出生率アップ)への、影響度を答えてください」というアンケートを行なってみました。
すると、出生率アップに7.43%つながるという結果に……。
1割にも満たない、かなり低い数字です。ただ、少子化の叫ばれる今にあっては、貴重な数字、施策だと言えるのかもしれません。寄せられたコメントも合わせ、具体的に探っていきましょう。
■既婚者は未婚者より多く「出生率につながる」と回答!
「出生率アップにつながると思う」と回答した人をよくみると、未婚者で6.6%、既婚者で9.1%と、既婚者のほうが多くなっていました。経験者は語るとも言うべく、そのへんの違いが数字にもあらわれたのでしょうか?
また、一番高かった数値は70%でした。
この方は既婚女性なのですが、「周りの、妊婦に対する意識が低いのを妊婦さんは知っています。そういう話も聞きます。その意識が高くなれば、今よりは出生率は上がるはずです」という意見を述べられています。
現実はなんとも手厳しいようです……。その辺をもう少し詳しく見ていきましょう。
■電車内でベビーカーOKルールが浸透しにくい可能性が
今回のアンケートでは影響力と一緒に、その理由も教えてもらいました。寄せられたコメントの中から、いくつかご紹介しましょう。
「50%。オープンでOKだとしても、必ず批判は起こる」
「15%。交通機関があまりない田舎では、これは関係ないと思うので」
「1%。子連れの女性と考えている時点で、国の意識が低い。出産そのものは女性に頼るしかないとしても、生れ落ちた瞬間から、男性も子育てすべき。また、未婚の側からすれば“今日、電車に乗ったらベビーカーが邪魔だった。あんな親にはなりたくない”と思う」
「0%。OKになったことを知らない人もいると思うし、問題はこれだけじゃないと思うから」
いかがでしょう。なかなかシビアですよね……。
決してこのルールを歓迎していないわけではないです。しかし、出生率アップに関してもさることながら、ルールを実践していくこと自体がなかなか厳しいといった意見が多く目につきました。
また、「これで出生率アップするなら楽なわけだけど金銭的面でも産み育てられないような状況が問題」という声も……。
実は、こうした経済的な問題を嘆く人は、15%もいました。たしかに、お金があれば、公共の交通機関に乗らなくてもすみますしね。実際、今は「環境より金」がものをいう社会なのかもしれません……。
とはいえ、子育て奮闘中の人たちに対し、いつでもエールを送れるくらいの心の余裕は持っていたいものですよね。みなさんもぜひ電車内でベビーカーを見かけたら、手を貸してあげてくださいね。
(文/富士峰子)
【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ『簡単アンケート』
調査期間:2014年11月21日(金)
調査対象:全国20代~30代の男女100名