不動産広告「徒歩●●分」に騙されないで!実は巧妙な罠があった

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2015.04.21

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不動産広告でよく見かける“徒歩●●分”の表示。あれ、どこまで当たっているんでしょうか?

気になったことはありませんか? 実は、あの表示には素人では絶対に気付かないような落とし穴があるのです! 今回は衝撃の事実をお伝えします。

■“徒歩1分=80メートル”が決まった経緯

まず、徒歩●●分の数字の根拠は、1963年(昭和38年)に公正取引委員会が承認した「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」が基本になっています。

その内容ですが、ザックリ書くと“1分=80メートル”というもの。80メートルは“健康な女性がハイヒールのサンダルを履いて歩いた時の平均速度”と俗に言われています。

最初、不動産業界が提案したのは“1分=100メートル”でした。少しでも、徒歩●●分の数字を小さくした方が、お客の歓心をひけるので、なるべく1分当たりで歩ける数字を大きくしたかったのですね。

でも、さすがにこれは無理。“1分=100メートル”は男性でもかなりのスピードです。そのため、公正取引委員会が改めて計測しました。どんな方法だと思いますか?

それは、東大を出たばかりの若い公正取引委員会の男性職員が、軽く女装して(かかとの高い靴を履いて)、庁舎の廊下を歩いて、時間と距離を測る、という方法。

さらに、その男性は普段はせっかちな性格だったそうです。計測の時は、女性やお年寄りを意識して、なるべく普段よりゆっくり歩いたそうですが……。こうして“分速80メートル”基準は生まれました。

大切なポイントなので、もう一度書きます。

“軽く女装した” “せっかちな若い男性” “庁舎の平坦な廊下”……。いろんな意味で、ツッコミ所が満載ですが、こうして“徒歩1分=80メートル”という基準は生まれました。

■不動産広告“徒歩●●分”表示の意外な盲点

“徒歩●●分”表示に関して、大事なポイントがもう一つあります。それは、距離だけ計算すればOKで、実際の障害物は関係ないということ。

道路にそった距離を“分速80メートル”で機械的に割ればよいことになっています。途中に信号があっても、坂道でも人混みでも、開かずの踏切があっても関係ありません。

たとえば渋谷駅を降りて、センター街の店に行くとき。あなたは普段と同じスピードで歩けますか。

ハチ公前、スクランブル交差点、センター街……。そんな時でも不動産表示は、単に駅からの道路距離を“80”で割っておしまいです。

徒歩1分=80メートルは、本来は不動産広告に関する規制です。たとえばレストランの案内などでは、実際にお店の人が歩いて計測した数字も使われることもあるでしょう。

しかし、それは逆に言えば無規制なので、お客を呼ぶために駅から近い数字が使われることもあるかもしれません。

これから徒歩●●分の表示を見たときは、“実際にかかる時間でなく、単に距離(時間×80メートル)”が元になっている可能性が高いです。

さらに“規制がかからない場合は、近い方に表示されている可能性がある”ことを念頭において行動したほうがいいでしょう。

最後に、時間に関するイタリアのことわざを一つ紹介します。

時間は人間のために作られている、人間が時間のために作られているわけではない。人生は時間そのものです。大切に使ってくださいね。

(文/シール坊)

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