ノートやパソコン上ではなくA4の紙に、頭に浮かぶことを「1件1ページ」で次々と書く。
しかも、ゆっくり時間をかけるのではなく、「1ページを1分以内に」さっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに入れて瞬時に整理する。
たったそれだけのことで、最も基本的な「考える力」を鍛えることができる。深く考えることができるだけでなく、「ゼロ秒思考」といえる究極のレベルに近づける。
それが、『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』(赤羽雄二著、ダイヤモンド社)の著者の考え方。でも、「ゼロ秒思考」とはどのようなものなのでしょうか?
■「ゼロ秒思考」で生産性が数十倍に!
もやもやとした気持ちをその場でことばに置き換え、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていくのだそうです。
そして結果的に、いままでは3~4日かけて考えていたことが、数時間でできるようになるのだとか。
つまり1ヶ月かかっていたプロジェクトを、ものによっては1週間で終わらせることもできるようになる。生産性が数倍~数十倍に上がるということ。
■思考の「質」と「スピード」の到達点
具体的にいえば、「書く」ことによって課題が整理され、問題点の本質が見え、本質的な解決策とそのオプションが頭に浮かび、オプションのメリット、デメリットがすぐわかるようになる。
だから、問題の本質と全体像を押さえた確実な対策が打てるようになる。つまり、そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」。
ちなみに「ゼロ秒」とは、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだといいます。
迷っている時間は「ゼロ」、思い悩んでいる時間は「ゼロ」ということで、きわめて効率的にものごとを進めることができるわけです。
■「書いて」「整理して」合理化する
もちろん、すべてがスムーズに進むはずはないでしょう。大半のことが文字どおり「瞬時」にできる一方、もう少し時間がかかる場合もあるはず。
しかし、それでも、従来にくらべて驚くほどのスピードアップが可能になると著者は主張しています。
なにが起きているのか、それはどういう現象なのかを一瞬で判断し、判断したら次の瞬間に進むべき道を複数考え、著書短所の比較をし、即座に方針を決定する。
「書いて」「整理する」ことが、そんなプロセスを合理化してくれるということなのでしょう。
なお、ここでは基本的な考え方をご紹介しましたが、本書の第3章「ゼロ秒思考をつくるメモの書き方」では、より具体的な方法論が解説されています。
頭のなかをスッキリまとめ、ビジネスをブラッシュアップしてみたい方には、そちらもぜひチェックしていただきたいと思います。
(文/印南敦史)
【参考】
※赤羽雄二(2015)『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』ダイヤモンド社