97歳のエッセイストが教えてくれる「自立したお一人様の極意」

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2015.05.15

suzie.20150515

『ほんとうの贅沢』(吉沢久子著、あさ出版)は、今年で97歳になる家事評論家・エッセイストである著者が、「自立」をテーマに自身の考え方を記したエッセイ集。

年齢を重ねてきただけあって、温かく柔らかなことばの裏側に、しっかりとした芯を意識させてくれます。

特に印象的なのは、ひとりで暮らすということについて、確固たる信念を持っていること。というわけで、1章「いくつになっても『自分の足』で立つ」から、「老いて『ひとりで暮らす』ということ」を見てみましょう。

■ひとりでも生活のリズムが大切

ご主人が亡くなり、著者がひとり暮らしをはじめてから、もう30年だそうです。97歳でひとり暮らしをしているというと、「寂しくありませんか」「大変ではありませんか」と心配する人もいるのだとか。

たしかに老いてひとりで暮らしていると聞けば、つらく寂しいことのように思えなくもありません。しかし著者は、「ただ、私はひとりがいいから、それを選んでいるだけなんです」と記しています。

また、ひとり暮らしは気ままですが、やるべきことはしっかりとやり、生活のリズムは大切にしているのだとか。

だからやることはたくさんあり、あっという間に時間が過ぎてしまうといいます。そのため、ひとりが寂しいなんて思う暇もないそうです。

■自立したいなら人も認めること

先に触れたように、著者が意識しているのは「老いてこそ自立して生きたい」ということ。

ただし、そこで自分の権利だけを主張してもうまく生きてはいけないもの。自分が自立したいのなら、人のことも認めるべきだと著者は主張しています。

■自分に厳しくできることも自立

人にはお節介を焼いて厳しいのに、自分に甘かったとしたら、それは自立とはいえません。

人はどうしても自分に甘くなるもの。だからこそ、いつも自戒が必要。もちろん、自分に甘くなるというのは、ある程度は仕方がないこと。でも、すべてがそうではまずい。

自分に厳しくできることも、自立のひとつではないかと、著者は思っているのだといいます。これだけでもわかるように、著者のいう「自立」についての考え方は、どの世代にとってもあてはまるはず。

だからこそ、深みとともに説得力を投げかけてくるのです。しかも文体が柔らかなので、読んでいるだけで温かい気持ちになれるでしょう。

(文/印南敦史)

 

【参考】

吉沢久子(2015)『ほんとうの贅沢』あさ出版

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