なんと1万人調査で赤ちゃん「頭囲」異常の多くは計測ミスと判明

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2015.05.24

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生まれたばかりの赤ちゃんを抱えたママは、不安でいっぱいです。それが初めての子なら、なおのこと。さまざまな発育過程の平均値や発達の目安をわが子のそれと比べ、一喜一憂してしまいます。

そんな不安いっぱいのママたちにぜひ知ってほしい、赤ちゃんの頭囲に関する研究結果がアメリカで今週発表され、注目を集めています。

医療ネタを扱うアメリカの情報サイト『Medicalpress.com』を参考に、赤ちゃんの頭囲を測ることの意義と弊害について考えてみましょう。

■頭囲は赤ちゃんの健康指標の“常識”

赤ちゃんの成長の指標として世界中で広く活用されている頭囲は、左右の眉の直線上から後頭部の出っ張った部分までをメジャーでくるっと一回りさせて測ります。

頭の中に水分が溜まる水頭症や栄養失調、学習障害など、心身のさまざまな健康リスクの早期発見に役立つ、とされています。

赤ちゃんの定期的な健康診断で身長、体重とともに必ず測定され、ママたちにとってはおなじみの項目ですよね。

母子手帳には頭囲の発育曲線のグラフも印刷されており、ほとんどのママは頭囲測定に特に疑問を感じていないのではないでしょうか。

ところが、ブリストル大学とグラスゴー大学で1万人の赤ちゃんを対象に行われた追跡調査の結果、世界のそんな常識を覆す主張がなされました。

赤ちゃんの頭囲が正常の範囲を超えたケースのほとんどは測り違いなどの人的ミスのせいで、発育異常や病気を発見する“ふるい分け検査”としての意味はほとんどない、というのです。

■赤ちゃんの頭囲と異常は関係ない!

今回行われた調査は、90年代に生まれた1万人の赤ちゃんの0歳時の頭囲と病気に関するデータ、7歳時のIQデータ、11歳時の学業成績を調査した非常に大規模なもの。

専門の医師・調査員チームによって、神経系の発達、学習障害、言語障害、自閉症、てんかん、ADHDなどさまざまなリスクとの関連が徹底的に調べられました。

そして調査の結果、頭囲が通常の範囲以上に小さかった子どもたちの85%はその後何の問題もなく成長したことが判明。

さらに、発達過程に問題が見つかった子どものうち、93%は0歳時の頭囲サイズが正常だったのです。計測ミスの可能性を考慮に入れると、頭囲と健康リスクの間に有意な関係があるとは言えなくなります。

中でも水頭症は、頭囲が重要な指標とされていますが、水頭症が1万人に6例程度であるのに対し、1歳までに頭囲が正常の範囲よりも大きくなる赤ちゃんは7人中1人の割合で存在するのです。

調査を行ったグラスゴー大学のシャーロット・ライト博士は「頭囲を正確に測ることは難しい」と指摘しています。

0歳の赤ちゃんはまだ言葉が理解できず、じっとしていません。ママやパパ以外の人(医師や看護師)が体に触ろうとすれば火が付いたように泣き出し、全力で抵抗します。

そんな状態で丸い頭の周囲をメジャーで測るのですから、計測ミスが多いことはたしかに想像できますね。

■赤ちゃんの成長を見守ることが大事

それでは、健診で赤ちゃんの頭囲を測り、指標にすることの弊害とは何でしょう?

前述のライト博士は「頭囲を健康リスクの指標にすることは、両親の不必要な不安をかき立てます。ほかの指標で赤ちゃんの発達や頭の成長に心配が見つかった時にのみ、頭囲データが使われるべきです」と主張しています。

調査データの例を借りれば、実際に水頭症と診断される赤ちゃんは1万人に6人なのにも関わらず、7人に1人の赤ちゃんが「水頭症の恐れあり」と医師に告げられ、MRIなどの検査を受けることになるのです。

これは医療費増加の一因にもなりますし、何よりも、初めての子育てに不安いっぱいの新米ママに要らぬショックを与えてしまいます。

また、ライト博士は「計測ミスの可能性もある頭囲測定でいたずらに不安がるのではなく、たとえば家庭を訪問する巡回保健士やかかりつけ医との関係を緊密にして、その他の成長指標を手掛かりに子どもの成長を見守るべきです」ともコメント。

赤ちゃんの発達を見守るさまざまな指標が存在しますが、それらを鵜呑みにするのではなく、わが子のようすとの兼ね合いで冷静な判断を下していくことが、ママたちに求められています。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

Small changes to a child’s head size should not concern parents-Medicalpress.com

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