本好きが4割もいるイギリスに学ぶ「子供が活字離れしない方法」

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2015.05.30

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日本では昨今、子どもの“活字離れ”が問題になっています。

文化庁の調査によると、16~19歳のうち「まったく読書をしない」がほぼ半数の47.2%(2014年調査)。さらに、「読書時間が以前よりも減った」との回答は65.1%にのぼります。

しかし、海外では状況が違うようです!

たとえば、『ナルニア国物語』『不思議の国のアリス』『ハリー・ポッター』シリーズなどを擁する“児童文学王国”イギリスでは、子どもが本に親しむ環境が育まれていました。

子どもがものの考え方を身につけ、感受性の発達を促すのに大きな役割を果たすのが読書。今回は、英語圏の情報サイト『TES』を参考に、イギリスの子どもたちの最新読書事情を見ていきしょう。

■4割以上の子供が「読書大好き」

まず、子どもの読書習慣の定着に取り組むイギリスの慈善団体ナショナル・リテラシー・トラストが行っている調査をみてみましょう。

2014年調査では、8~18歳の子ども・生徒のうち「授業以外でも日常的に読書をしている」との回答は41%。前年比9ポイント増で、「まったく読書をしない」と答えた子どもの5倍にのぼりました。

さらに、イギリスで14~16歳を対象とした別の調査では、「本を読むことはたのしい」と答えた子どもが43%(2014年調査)。やはり前年比で6ポイント増加しています。

「何を読んでいるか」という問いには、「教科書」が73%でトップ。以下、「ウェブサイト」60%、「小説」47%、「新聞」31%。いずれも、2010年時の調査より増えています。

唯一、読まれなくなっているのが雑誌です。雑誌を読んでいると答えた子どもは49%で、2010年の58%から9ポイント減っていました。

ウェブサイトがトップに来ている点が現代らしいといえますが、この調査結果からイギリスでは子どもが読書をたのしむ習慣がしっかりと根づいていることがうかがえます。

■子供が「読書大好き」になる環境

子どもたちが好んで読書する背景について、ナショナル・リテラシー・トラストの代表ジョナサン・ダグラス氏は、(1)ティーン向け小説の新たな潮流と(2)子どもの読書習慣を促す活動の2点を挙げています。

イギリスで児童文学といえば、『ハリー・ポッター』シリーズ(J・K・ローリング著。日本では松岡佑子訳で静山社より刊行)の大ヒットが記憶に新しいところ。

これまでも、すばらしい児童文学が生まれてきましたし、良質な児童文学作品に贈られる『カーネギー賞』や『ガーディアン賞』が、子どもたちの本選びに役立っています。

そんなイギリスの子どもたちの間で、近年新たな流行が生まれています。

アメリカの作品、『トワイライト』シリーズ(ステファニー・メイヤー著。日本では小原亜美訳でヴィレッジブックスより刊行)や、『ハンガー・ゲーム』シリーズ(スーザン・コリンズ著。日本では河井直子訳でメディアファクトリーより刊行)がベストセラーになっているのです。

海外の作品のブレイクで選択肢が増え、さらに読書をたのしむ子どもが増える、というよい循環が生まれています。

また、子どもの読書習慣を促す活動には『ブックスタート』や『サマー・リーディング・チャレンジ』、『ヤング・リーダーズ・プログラム』が挙げられます。

『ブックスタート』は、赤ちゃんを持つママに絵本やおすすめの絵本リストを配り、絵本の大切さを伝える活動。日本でもいくつかの自治体が0歳児健診の場で導入していますから、聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。

『サマー・リーディング・チャレンジ』と『ヤング・リーダーズ・プログラム』は学童期の子どもたちの読書をサポートする活動。『ブックスタート』も含め、これらは3つともイギリス発祥です。

イギリスでは、児童文学作品が読まれる土壌、プラス行政や慈善団体による継続的な活動が、子どもたちに読書のたのしさを浸透させる原動力になっているんですね。

日本にも良質な子どものための読み物は数多くありますし、『ブックスタート』など、日本で始められている活動もあります。

さらに親や学校など周囲がよりよいサポートをしていくことで、子どもたちの活字離れに歯止めをかけていきたいものです。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

Rise in number of children reading for pleasure―TES

国語に関する世論調査の結果について―文化庁

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