「入ってきただけで部屋がパッと明るくなる人もいれば、逆にシラケたムードになる人もいる。その違いはどこにあるのだろう?」
『人の心を一瞬でつかむ方法―人を惹きつけて離さない「強さ」と「温かさ」の心理学』(ジョン・ネフィンジャー、マシュー・コフート著、熊谷小百合訳、あさ出版)は、上記の疑問を解くことを発端として生まれた書籍。
その結果として、「人が第三者に評価されるときは常に二つの観点——『強さ』と『温かさ』からはかられている」という結論に達したのだそうです。
つまり本書には、このふたつをよいバランスで発揮するための方法が記されているということ。
PART2「人はみな、『見た目』と固定観念に縛られる」から、「女性のための三つの戦略」を引き出してみましょう。
■成功を収めている女性のスタンス
成功を収めている女性は、社会的偏見を見事に克服しているもの。しかしその道のりは、決して平坦ではないと著者はいいます。
重要なのは、「どうすれば強さを発揮できるか」ではなく、どうすれば強さを発揮し、かつ、温かさを失わないでいられるか。
女性が強さを見せつけると反感を買ってしまいがちなので、「強さ」と「温かさ」の微妙なバランスをうまくコントロールする必要があるということ。そして、次の3つがその「戦略」。
■女性が意識するといい3つの戦略
(1)「怒り」ではなく、「毅然とした態度」を示す。
怒りは通常、女性にとってマイナスに働くものだと著者はいいます。なぜなら怒りをあらわにしてしまうと、イメージだけで全てを判断される危険性があるから。
そこで、怒りを爆発させるのではなく、冷静に不同意を示し、感情をコントロールできていることをはっきりとアピールすればよいということ。
温かさを失うことなく、かつ、しっかりと異議を唱えることができれば、それに越したことはないといいます。
(2)「仲間への思い」を示す
状況によっては、女性が怒りをあらわにしても反感を買わない場合があるという研究結果もあるのだそうです。
たとえば、愛する人に危害が加えられているのを見て、女性が怒りを隠さなかったとしても、それに反感を抱く人はいません。
女性がチームや家族のために「強さ」を発揮しているとき、その「強さ」は「温かさの表現」と見なされるということ。「強さ」が「献身性」と結びついている場合には、「強い女性」も認められるということです。
(3)「温かさ」のボリュームを大幅にアップする
女性は通常、「温かみはあるが弱々しい」とされているというのが著者の見解。したがって、女性が「強さ」を発揮したい場合、「温かさ」のボリュームを下げれば、シーソー現象によって「強さ」が引き立つということ。
しかし、できる女性は「強さ」と「温かさ」のどちらもフルに発揮しているものなのだとか。「強さ」を示せばまわりから一目置かれ、「温かさ」を示せば、「強い女」に対する反感を和らげることができるわけです。
これはほんの一例ですが、「強さ」と「温かさ」に焦点を絞った考え方は、どれもが新鮮で説得力に満ちています。コミュニケーションで悩んでいるなら、手に取ってみてはいかがでしょうか?
(文/印南敦史)
【参考】
※ジョン・ネフィンジャー&マシュー・コフート(2015)『人の心を一瞬でつかむ方法―人を惹きつけて離さない「強さ」と「温かさ」の心理学』あさ出版