「食材をうっかり冷蔵庫の中で腐らせてしまった」「気がついたら消費期限切れだった」とか、そんな経験はありませんか?
世界中でも現在、すべての食品の3分の1、金額にしておよそ1兆円分が毎年、消費されることなく捨てられています。
一方、食品廃棄物を減らすことを目指した草の根の取り組みも各地で始まっています。今回は、環境問題に取り組む非営利団体『One Green Planet』の公式サイトを参考に、食品廃棄を減らす6つの取り組みをご紹介します。
■1:食品を“賞味期限”から救う――ボストンでの取り組み
保存食や発酵食品など、賞味期限が迫っていたり、超過していても食べられる食品ってありますよね。
ボストンにある非営利の食料品店『デイリーテーブル』は、賞味期限切れでも十分食べられる食品を、安い価格で販売しています。ここでは、消費者が本人の責任のもとで食品を安く買うことができ、食品廃棄物の削減に貢献しています。
■2:売れ残りをチャリティーに寄付――フランスでの取り組み
フランスでは、食品廃棄の問題に国全体で取り組み始めています。
実は、フランスでは売れ残った食品を販売してはいけないと法律で決まっています。しかし、最近ではその法律を逆手に取り、まだ食べられるものはチャリティーに寄付する、そうでなければ動物のエサや肥料として活用する、といった食品活用の仕組みが生まれています。
■3:食べ物をムダにしない教育を――イギリスでの取り組み
イギリスのある学校では、意外な方法で2年かけて残飯を75%減らすことに成功しました。新鮮な野菜や果物、ほんの少し高級な肉を使った給食で、食べ残しを減らす作戦です。
給食がおいしくなったら子どもたちはたくさん食べるようになり、結果的に食べ残しが4分の1に減ったというのです。これは素晴らしいアイデアですね。
■4:学校でランチのゴミをゼロに――サンタクルーズ市の取り組み
カリフォルニア州サンタクルーズ市の4つの学校は、自治体の支援を受けて“ランチの食べ残しゼロチャレンジ”に取り組んでいます。
まず、毎日ランチタイムに出た残飯やゴミの重さを計測し、ムダの量を実感できるようにしました。さらに、残した食べ物を子どもたち同士で交換したり、使い捨て容器ではなくランチボックスを使うなどの取り組みで、毎日約13kgも出ていた生ゴミをゼロにしたのです。
■5:都市ぐるみでゴミ削減――サンフランシスコ市の取り組み
サンフランシスコ市では早い時期から、ゴミを減らす独自プランを実行しています。ホテルやレストランから出る生ゴミを堆肥として利用し、レジ袋の有料化を進め、市民のリサイクルもかなりルールが徹底しています。
また、市のプロジェクトで行う建築用資材はリサイクルのものだけを使用し、処分場に運ばれるゴミの80%をリサイクルに転換させています。
■6:NPO主導で貧困層に提供――ニューヨークでの取り組み
ニューヨーク市では、毎年130万トンの食品が処理場に送られる一方で、市民の20%が貧困に苦しんでいます。
あまった食品をホームレスなどに再配分する活動を行うNPO法人『シティーハーベスト』は、地元のレストランやスーパー、社員食堂や工場などと協力し、捨てられる運命にある60トンもの食料を毎日市内の500の施設に提供しています。
各地で行われている取り組み、いかがでしたか?
食品のムダを減らすことは、世界全体で取り組まなければならない問題です。生ゴミは処理される過程でメタンガスを排出しますが、このガスがなんと二酸化炭素の20倍もの温室効果を持っていると言われているのです。
ムダの削減は、一人ひとりがスーパーで買い物をするところからも始まります。まずは必要以上のものを買わないこと。特に、腐りやすい食品や長持ちしすぎる食品を買う時には、使い切れるかどうかをちょっと考えるだけで、ムダを減らす大きな一歩になるはずです。
(文/よりみちこ)
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