「子どもがやる気にならなくて困っている」というお母さんにぜひ読んでいただきたいのが、きょうご紹介する『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』(飯山晄朗著、秀和システム)。
運動部のメンタルコーチを務めた実績を持ち、過去には名門私立高校野球部を半年で復活させて6年振りの甲子園へ導いたという著者が、経験を軸として子どもをやる気にさせる方法を紹介しているわけです。
ちなみに子どもだけでなく、ビジネスのシーンにも役立つメソッド満載。第3章「不満ばかり口にする子に使命感を与える6つの言い方」を見てみましょう。
■1:「自分のために」ではなく「誰かのためにがんばれ」
自分のためにがんばるのも悪くはないけれど、それだけだと限界が訪れるもの。辛くなったときに燃え尽きやすくなってしまうということです。
しかし「自分のため」だけではなく、「自分以外の誰かのため」にがんばっている子は、自分が辛いときにも粘れるものだといいます。
でも喜ばせたい人を決めれば、明確にイメージを描けるそうです。
■2:「諦めるな」ではなく「お前はエースだ」
人は自分を「エースだ」と思えばエースに育ち、「そこそこのレベルだ」と思えばそこそこのレベルで成長を止めてしまうもの。
だからこそ、自分を過小評価している子には、正当な評価を自覚させることが大切。
■3:「変えるとしたらなにができる?」と聞く
チームがギクシャクしているとき、「いまどんな状態?」と聞いても表面上だけ取り繕った答えが返ってくるだけ。
でも「もし、いまのチームの状態をもっとよくするとしたら、自分にはなにができる?」と聞いてみる。つまり、自ら動き出すきっかけをつくってあげることが大切。
■4:「なぜやるんだと思う?」と聞く
「なぜ仕事をやるのか?」と聞いたとき、「やれといわれたから」と答える子は少なくないもの。しかしそれでは、なにをやっても吸収できず、成長することも困難。
そういう相手に仕事を与える際には、「なぜ、この仕事をするのか」という意味を自分で見つけられるようにサポートしてあげるべき。
■5:「君がやる理由は?」と聞く
上に立つ人間は、「責任を持ってやれ!」と責任を押しつけがち。でも責任感を強調しすぎると、重圧に耐え切れず、「自分には無理」と自信をなくす子も多いとか。
しかし「君がやる理由は?」と聞き、「この仕事は自分だからできる」「自分がやるべき」という使命感に気づかせることができれば、積極性が引き出されるもの。
■6:「恩返しをしたい人は?」と聞く
感謝しない状態が続くと、心は「感謝できない状態」になってしまうもの。なのに「感謝の気持ちを持て」といっても伝わらなくて当然。
心を感謝できる状態に戻してあげるためには、「恩返しをしたい人は?」と聞いて、感謝するきっかけをつくってあげることが有効。
たしかにこのようなアプローチを意識すれば、相手が子どもであれ大人であれ、やる気を引き出すことができそうです。
(文/印南敦史)
【参考】
※飯山晄朗(2015)『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』秀和システム