1週間で50時間以上働くと生産性低下?労働と幸福感の関係とは

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2015.07.03

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長時間働いている人は仕事に追われ、疲れきっているもの。あまり幸せそうには見えないですよね。そのため、「労働時間が長いほど幸福度は下がるのでは?」と思われがち。

しかし実際には、そうともいいきれないようです。

今回は労働時間と幸福度についての研究結果を、『CNBC』の記事からご紹介しましょう。

■男性は長時間働いている方が幸福?

マーストリクト大学の研究によると、「男性労働者の場合、“友人や同僚よりも長時間働いている”と思っている方が、より幸福感を抱いている」傾向があるそうです。

これは、教育・労働市場のための研究センターによって、3,042人のオランダ人男性労働者を対象に調査されたもの。尋ねたのは以下の3点です。

・現在の自分の状態について

・何時間働いているか

・同僚が平均何時間働いていると思うか

調査の結果、収入や実働時間にかかわらず、同僚よりも短時間しか働いていないと思っている人は、同僚よりも長時間働いていると思っている人にくらべ、幸福度が低下していることがわかりました。

こういった現象は、“活躍感”と呼ばれるそうです。

この研究によると、活躍感は「男性が同僚よりも多く働くことから地位を得て、彼の有用性を増大させる際に生じる」とのこと。

また研究では、多くの社会的グループに対して、実際に「とても忙しいのだ」と伝えることで、個人が自分の地位を上昇させることが可能。対照的に、他者よりも忙しさを伝えないことで、地位を失ってしまう可能性もある、と述べられています。

日本の社会では、「自分は忙しいアピール」で一目置かれることは少なく、むしろ反感を買います。

しかし、研究者のひとりであるマリオン・コルウェット氏は「我々の研究では、この活躍感の傾向は、男性の同僚に対してのみ認められ、女性の同僚の対しては認められなかった」と述べています。

■男性と女性で活躍感に差が出た理由

男女差が生じた理由のひとつとして、研究者は、伝統的性役割による見方を示しています。

そもそも、「男性はフルタイムで働くもの」という社会的規範がありますよね。

そのため、他者よりも長時間の労働をすることで満足度が高くなり、女性がフルタイムで働くことは社会的には否定的に捉えられるのではないか、というのです。

つまり、「男性は働くべきであり、その量や質で男性の社会的地位が築かれていく」と認識していると考えられるのです。

よって、男性は他の同性の同僚より働くことによって、自分の地位が築かれていると感じ、働くことで幸福感を得ているわけです。

■長時間働くと幸せでも生産性は低下

一方で、ダラム経済大学のリチャード・ハリス教授は「単純に労働時間の増加が生産性向上にはつながらない。労働時間が増えても成果が少なければ、生産性は下がる」と指摘しています。

生産性が下がる理由として考えられるのは、睡眠時間の少なさ。

スタンフォード大学のジョン・ペンキャベル氏は「1週間で50時間以上働くことで、生産性が著しく低下する」と指摘しています。

また、ペンシルベニア・ペレルマン大学医学部の研究では、「6時間未満の睡眠をとっている人は、6時間以上睡眠をとっている人にくらべ、1.5時間以上多く仕事をしていることが明らかになっている。また、労働時間が増えれば増えるほど睡眠不足になり、生産性が落ちる」ということを示唆しています。

他の同僚よりも長時間労働している、と思うことで幸福感は高まる。けれども生産性の問題とは別の話のようです。

「残業を長時間したからといって仕事がはかどるわけではない」というのは、日本人の感覚でも納得できること。

みなさんは、同僚よりも長時間働いていると思ったときにどう感じますか?

(文/和洲太郎)

 

【参考】

Why men (at least pretend to) work longer hours-CNBC

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