人口1000人にたった2人?高齢化の日本で深刻な医師不足事情

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2015.07.06

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先進国中、もっとも医師が少ないのは日本だということをご存知でしょうか?

『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』(榊原英資・竹中平蔵著、アスコム)は、株、為替、成長戦略を徹底予想し、今後の日本経済を先読みする1冊。田原総一朗氏が責任編集をし、経済界を知り尽くす著者2人との対談を載せた本です。

ここで、深刻な医師不足からくる医療分野の裏事情が語られていたので紹介します。

■36年間も新しい医学部ができていない

竹中平蔵氏によると、過去36年間、新しい大学の医学部がひとつも認められず、大学側が医学部を設立したいといっても、厚生労働省と文部科学省がすべてノーと退けてきたとのこと。

お医者さんの団体が「医者が増えて競争が始まるのが嫌だ」と医者の数を増やすことに消極的になってきた結果だといいます。

日本でこれだけ高齢化が進んでいるにも関わらず、医者の数そのものを増やす方向に医療業界が動いていないとは衝撃的です。

■病院の料金はヘタな医者ほど高くつく?

その結果、人口1,000人あたりの医師数が先進国でもっとも少なくなってしまったわけです。

普通の国では、1,000人あたり医師の数は約4~6人なのに対し、日本は2人だそう。医師の数が少ない上に、名医といわれるような人まで、ものすごく安い給料で働かされているという現実があるといいます。

病院勤めの若い医者の待遇をよくしないと、医療界の未来は暗いということ。田原氏は「病院の料金は、名医だからって高いってことはなく、名医も新人医師も基本的に同じ。

でも、ヘタな医師は、時間がかかったり、輸血や薬をいっぱい使ったり、術後の経過が悪くて入院が長引いたりするから、余計にカネを取られてしまう。病院勤めの医者は給料制だから、病院からすると、ヘタな医師のほうが売り上げが大きいわけ」と痛烈に話しています。

■医師不足が解消しない根本的な原因とは

この問題を解決するために、榊原氏は「混合診療を広く認めるべき」との考えを述べています。

健康保険がきかない薬や検査を使っても、残りの治療にかかる部分は保険がきくようにするのが「混合治療」。保険診療と保険外診療の併用をもっと広く認めるところから始めないと、医師会は変わらないということです。

竹中氏は「医師会は医者同士が競争するのが嫌なんでしょう。混合治療を認めると、薬について熱心に研究している医者が、必要な薬をどんどん使い患者を治し、よい医者と評判が立って患者を集める。不勉強な医者は患者が集まらない。このことがはっきりすることが嫌なんです。だからわけのわからない理屈で阻止しようとする」と語ります。

「介護でも同じ」と田原氏。「金持ちが手厚い介護を受けたいといえば、認めればいいのに、たくさんお金を出したからってよいサービスを受けられるかといったらそうではない」とのこと。

2015年5月の国会で医療保険制度改革関連法案が可決、成立したことで、混合治療も2016年から拡大されるといいます。これはひとつ前進したといえるでしょう。

医師不足がもっと深刻になれば、来たる高齢化の波に耐えることが不可能となります。これでは、先の未来に対する安心感が薄らいでしまいますね。

不安を取り除くには、まずは知ることから。『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』の本には、知られざる日本の現状をさまざまな角度から知れる話題が満載です。手に取ってみてはいかがでしょうか?

(文/中田蜜柑)

 

【参考】

榊原英資・竹中平蔵(2015)『絶対こうなる!日本経済ここが正念場!』アスコム

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