水は必ずしも0℃以下で凍るわけじゃない?仰天の「熱」トリビア

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2015.07.09

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意識することは少ないかもしれないけれど、私たちは常になんらかのかたちで「熱」の恩恵を受けているものです。

そこで、ぜひ読んでおきたいのが、きょうご紹介する『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』(梶川武信著、SBクリエイティブ)。

エネルギーの専門家である著者が、さまざまな分野や領域で「縁の下の力持ち」として大切な役割を果たす熱についての疑問を解き明かした書籍です。

きょうはそのなかから、さらに数字に関連する項目を抜き出してみましょう。

■1水は0℃以下でも凍らないことがある?

ご存知のとおり、通常の冷却方法によれば水は0℃で氷に変わります。なぜなら水にとっては、それがいちばん安定する状態だから。

ところが、0℃以下でも凍らない状態がまれにあるというのですから驚きです。

この現象が起こるのは、0℃以下であっても水分子の集まりが一時的に安定した状態にとどまっているから(準安定状態)。この状態を「過冷却」というそうです。

ただし過冷却は強固なものではないので、過冷却水に外部から振動などの物理的な刺激を与えると、すぐに本来の安定状態である氷に移行することに。

■2熱を100%仕事に変えられるの?

電気自動車やハイブリッド車のように、電気をモーターで動力にかえると、効率は100%近くに。理論上は、100%変換が可能。

それに対し、熱を電気や機械など他のエネルギーに変換するときは、理論値でも100%は望めないのだとか。これが、他のエネルギーと決定的に違う点です。

水力発電は、高所にある水のエネルギー(位置エネルギー)を利用します。高所に貯められた水を海抜0mにある水車に向けて落下させると、水の位置エネルギーを水車の回転に100%変えることができるわけです。一方、蒸気発電では熱の強さ(温度)が水力発電での高さに相当するのだそうです。

■3鉛筆の芯は3550℃なければ加工できない?

太陽の光球は6000~8000Kもの高温ですが、身のまわりにはこれに近い温度でなければ加工できない製品がいろいろあるとか。

たとえばそのひとつが、シャープペンシルや鉛筆の芯。これは450年ほど前に発見された黒鉛(グラファイト)を加工したもので、融点は3550℃。

そのほか、ダイヤモンドに近い輝きを持ち、装飾品によく使われるキュービックジルコニアをつくるためにも3000℃近い温度が必要。

また、照明器具に使われているタングステンも、融点は3407℃だといいます。

■45000℃の熱をつくるには?

5000℃付近の温度を実現するためには、石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やす、電気ヒーターを付ける、などでは力不足。それではせいぜい2000℃くらいにしかならないそうです。

プラズマの性質を利用するアーク放電という特別な方法によって、ようやく可能になるのだとか。

他にも、熱に関する身近なネタがぎっしり。やや専門的で難解な部分もありますが、それでも充分に楽しみがいのある内容だと思います。

(文/印南敦史)

 

【参考】

梶川武信(2015)『暮らしを支える「熱」の科学 ヒートテックやチルド冷蔵、ヒートパイプを生んだ熱の技術を総まとめ!』SBクリエイティブ

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