夏になると、冷たいジュースや炭酸飲料がおいしく感じますよね。つい飲みすぎてしまう、という人も多いでしょう。でも、ジュースや炭酸飲料の飲みすぎが死に直結するとしたら?
今回は、科学関連の情報サイト『livescience.com』を参考に、そんな怖~いお話を紹介します。
■350ml缶のジュースには10杯分の砂糖が!
砂糖たっぷりのジュースや炭酸飲料、スポーツドリンクが原因で死亡する人が世界で毎年18万4千人――そんな恐ろしい結果が、アメリカ・マサチューセッツ州のタフツ大学研究チームによって発表されました。
甘味飲料に含まれる糖分は、350ml缶1本で最大砂糖ティースプーン10杯分! 今回の研究で、甘味飲料による糖分の過剰摂取と、糖尿病やガンなど重篤な疾患にははっきりとした関係があることが示されました。
18万人といえば、毎年のインフルエンザによる死者と同規模。でもインフルエンザと違い、ほとんど注意が向けられていない現状を考えるとゾッとしますね。
これまでも、炭酸飲料やジュースなどの甘い飲みものが肥満の原因になっていること、そして肥満が健康上の大きなリスク因子であることは広く知られてきました。
今回の研究では、甘い飲みものの摂りすぎによる糖尿病での死者数が世界で13万3千人に上ると試算。さらに心疾患で4万5千人、ガンで6,450人が亡くなっているとしています。
研究チームを指揮するタフツ大学のダリウシュ・モザファリアン博士は、「甘い飲みものを必要以上に摂らない食生活を目指すことを、世界の最優先事項とすべきだ」と警鐘を鳴らします。
■日本ではジュースの砂糖は無視できる程度?
この研究は、50カ国以上の人々の食習慣と疾患のデータ、それに世界の砂糖市場の供給状況などを分析したもの。ここでいう砂糖には、サトウキビ由来のもの、砂糖大根(ビーツ)由来のもの、果糖を多く含むコーンシロップを含みます。
国別にみると、甘味飲料に起因する疾患で死亡した人が多かった20か国のうち、8か国がラテンアメリカとカリブ海諸国。これらの国々は甘味飲料の消費量も非常に多いそう。
メキシコでは国民の10%以上が糖尿病を患っており、今回の研究でも45歳以下の死因の30%以上が甘味飲料に由来するものだとしています。
また、国民ひとりあたり平均で1日ティースプーン22.2杯分の砂糖を摂取しているアメリカでは、年間2万5千人が甘味飲料がもとで亡くなっていると試算されています。
日本はどうでしょうか? この研究では、甘味飲料が原因で亡くなる日本人は他の国に比べると非常に少なく、健康に与える影響も無視できる程度のものとされています。
緑茶や麦茶、ほうじ茶など、砂糖を含まない飲みものが好んで飲まれているのがその理由。しかし、決して楽観はできません。
私たち若い世代では洋風の食生活がどんどん一般的になってきており、それに伴って炭酸飲料をはじめとする甘味飲料の摂取量も増えていると考えられるからです。
■アメリカでは現在ソーダ税の導入が進行中!
ただ、この研究ではまだ個人レベルでの甘味飲料と死の直接的な因果関係までは証明できていません。
結論はあくまでも、国ごとの甘味飲料の消費状況と死亡率との関連で出されています。このことに、飲料メーカーなどは強く反発しています。
とはいえ、砂糖の過剰摂取が健康を害するのは紛れもない事実。アメリカ心臓協会(AHA)は、砂糖は食べものの味をよくするためだけのものであり、カロリーが摂取できることを除けば健康へのメリットはまったくないと断言しています。
また、アメリカ糖尿病学会は、糖尿病を予防するには甘味飲料を飲むのをやめることが必要だと訴えています。
具体的な対策も少しずつ始まっています。アメリカの一部の市では、肥満や糖尿病を防いで医療費を抑制する目的で今年から糖分入り炭酸飲料にソーダ税を導入。
こうした取り組みや世論の高まりの影響で、アメリカ国内では炭酸飲料販売量が2014年まで10年連続で減少しているそう。
私たちの毎日に彩りを添えてくれる甘味飲料。摂りすぎの怖さをよく理解して、節度を持って楽しみたいものです。
(文/よりみちこ)
【参考】
※Sugary Drinks Kill 184,000 People Every Year-livescience.com