手前味噌ながら私は毎日、『Suzie』をはじめとする複数のサイトに書評を寄稿しています。1週間に10数本書いていますので、単純計算でも年間600本以上。
読むことと書くことが好きだからできているわけですが、きょうはそんな私の著書『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(印南敦史著、KADOKAWA)をご紹介したいと思います。
長いライター経験を軸に、「読む」「まとめる」「書く」「伝える」ことについての持論をまとめたもの。「読ませる」文章に必要な4つのポイントを引き出してみましょう。
■「読ませる」文章に必要なもの1:センス
文章の書き方を解説した書籍は少なくありませんが、いきなりセンスを持ち出してくる書き手は少ないかも。それどころか、冗談扱いされる危険性だってあります。
しかし、「伝わる」文章を書くにあたり、センスはとても重要な意味を持ちます。エッセイであれ小説であれ、それどころか企画書などにおいても、センスは読み手を引き寄せる役割を果たすからです。
そして個人的に、センスを磨くためのポイントは次の3つだと考えています。
(1)読む習慣を身につける
(2)他人の視点に立つ
(3)好きな書き手の真似をする
まずは、読むことをライフスタイル化し、次に読み手の顔をイメージし、自己満足に陥らないように注意しながら書く。ただし、その際には、好きな書き手(作家でもライターでも)の文体を真似る、ということ。
そうすればやがて、真似は「オリジナリティー」へと変化していくわけです。
■「読ませる」文章に必要なもの2:文法
文法の重要性はいわずもがなですが、とりあえず押さえるべきポイントは2つです。
まずは「てにをは」。「重み“で”つぶれる」「扉“に”触れる」「時間“を”くり上げる」「弱点“は”隠しておきたい」などの“ ”にあたる助詞。
ここを意識するだけで、文章は引き締まります。
そしてもうひとつが、「テンとマル」。どこに、いくつ「、」を打つか? 文章をいつ「。」で終わらせるか? この2点が、文章にとって重要なのです。
■「読ませる」文章に必要なもの3:リズム
そして、「テンとマル」をうまく使うと、そこにはリズム感が生まれます。
このリズム感は、スラスラと文章を読ませるための重要なファクター。
(1)「Suzie」は数字の魅力をふんだんに盛り込んだサイトなので情報をさまざまな角度からインプットすることができます。
(2)「Suzie」は、数字の魅力を、ふんだんに盛り込んだサイトなので、情報を、さまざまな角度から、インプットすること、ができます。
(3)「Suzie」は、数字の魅力をふんだんに盛り込んだサイト。ですから情報を、さまざまな角度からインプットすることができます。
たとえば上記の3つなら、(1)は息切れしそう。(2)は区切りすぎ。明らかに(3)が読みやすくリズミカルであるとは思いませんか?
■「読ませる」文章に必要なもの4:簡潔さ
難しい漢字や熟語を使ったり、難解な文体にしてみたり、文章は複雑になればなるほど説得力と品がなくなるもの。
シンプルすぎるほど簡潔な方が、相手に伝わりやすいのです。
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他にも「読む」「まとめる」「書く」「伝える」を多角的に掘り下げています。ぜひ一度、手にとってみてください。
(文/印南敦史)
【参考】