きょうご紹介したいのは、『それでも、あなたを愛しなさい』(ルイーズ・ヘイ、 デーヴィッド・ケスラー著、山川紘矢、山川亜希子訳、フォレスト出版)。
著者のことばを借りるなら、「失恋、離婚、死などの様々なタイプの不幸を体験した時に、それをどのように悲しみ、どのように癒すことができるかを発見するために」書かれたという書籍です。
根底にあるのは「アファメーション」。ポジティブ、またはネガティブな思い込みを強化するための文章のこと。もちろんここでは、悲しみに対するポジティブなアファメーションが紹介されています。
つまり、悲しみの痛みを避けるのではなく、それをしっかりと味わって先に進もうという前向きな発想。
ただ、そうはいっても「喪失が生じたとき」はつらいもの。だからこそ、喪失のタイプを再確認しておきたいところです。
ちなみに著者によれば、喪失には3つのタイプがあるのだとか。
■1:複雑な喪失
複雑な喪失とは、他の要素によって複雑になった喪失のこと。
たとえば、双方がお互いに別れや離婚に同意しているとき、あるいは年をとった家族が幸せな人生を送ってからなくなるとき、それらは「複雑ではない」喪失。
しかし喪失が複雑化するのは、起こるのが予想できなかったとき。なぜならそれは、意外で驚きだからです。でも、それを癒す可能性は常に存在しているといいます。
たとえば恋愛において、ひとりが別れたいと思い、もうひとりは別れたくないときは、次のようなことを思考につけ加えるといいとか。
「いまはこの別れを理解できないけれど、これを現実として受け入れます。そうすれば、ヒーリングが始まるでしょう」
■2:宙ぶらりんな喪失
宙ぶらりんな喪失の例として、ここではあるカップルの発言が紹介されています。
「別れるのは大変だ。この関係をうまく行かせるか、永久に終わらせるかしたい」
そんなときに有効なアファメーション(肯定的な断言)は以下のとおり。
「この別れは役に立つ気づきを与えてくれるだろう。そのときが来れば、ふたりの関係はうまくゆくか、終わるかするだろう」
■3:社会的に表現できない喪失
これは、「自分は社会的に悲しむ権利を持っていない」と感じている喪失の結果として生じる悲しみのこと。
このタイプの悲しみは、公に悲しんだり認めたりされないことが多いといいます。たとえば、同性同士の関係や結婚など。そういう場合は、次のように考えるといいそうです。
「私の愛について他の人がどう考えようと、私は自分の愛と喪失を尊重します」
失恋、離婚、死などが起こることはコントロールできませんが、そのあとに続く考え方は完全にコントロールできると著者はいいます。
そしてアファメーションは、思考を癒しの方向に向け、苦しみから遠ざけるための価値ある手法なのだとも。
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実例も多く紹介されているため、喪失からの立ちなおり方、あるいはアファメーションの価値をわかりやすく吸収できるはず。
疲れたときにページをめくれば、気持ちを前向きに変えることができるかもしれません。
(文/印南敦史)
【参考】
※ルイーズ・ヘイ、 デーヴィッド・ケスラー(2015)『それでも、あなたを愛しなさい』フォレスト出版