日本でも報道されましたが、ロンドンの地下鉄で7月9日~10日に10数年ぶりの大規模ストがあり、市内が大渋滞しました。
被害を受けたのは、数百万人。この夏休みにイギリスへ行く予定の方はビックリしたことでしょう。
ところでロンドンの地下鉄には、トリビアがたくさんあります。数字に関するものを10個ご紹介しましょう。
■1:オックスフォード・サーカス駅は9,800万人が利用
「チューブ(tube)」の愛称でロンドンっ子の足となっているロンドン地下鉄は、1863年にオープンした世界最古の公共鉄道ネットワーク。
2014年の乗降客数が最も多かったのは、のべ9,800万人が利用したオックスフォード・サーカス駅でした。この駅には、ロンドンを南北に走るベーカールー線と東西に走るセントラル線が走っています。
東西約2キロに渡って伸びるロンドン屈指のショッピングストリート、オックスフォード・ストリートと、曲線が美しいリージェント・ストリートが交わるところに駅が位置しています。日本人観光客にとってもなじみ深い駅だと思います。
■2:レスター・スクエア駅とコベント・ガーデン駅の間は260メートル
ロンドン地下鉄は、東京のメトロと比べるとひと駅間が短いように感じます。
実際に最も距離が短いのは、ピカデリー線の中心部分にあるレスター・スクエア駅とコベント・ガーデン駅。その距離はわずか260メートルです。所要時間はたった20秒ほど!
それでも乗車料は4.80ポンド(925円)もしてしまいます。事情を知らない観光客は、この距離を知らずに地下鉄に乗ってしまうかもしれませんね。
逆に最も距離があるのは、ロンドン北西部にあるチェシャム駅とチャルフォント&ラティマー駅の間で約6.26キロメートルです。
■3:エンジェル駅のエスカレーターは60メートル
エンジェル駅には、ロンドン地下鉄で最も長いエスカレーターがあります。その距離は60メートル。27.5メートルの高低差を登ります。逆に最短のエスカレーターは、ロンドン東部のオリンピック会場近くにあるストラトフォード駅に設置されているもので、高低差は4.1メートルです。
■4:地下鉄なのに地下にある駅はたったの45%だけ
ロンドン地下鉄とはいいますが、実際に地下トンネル内に駅があるのはネットワーク全体のわずか45%です。
ちなみに地下にある駅のひとつ・ノーザン線のハムステッド駅は、地下58.5メートルの深さにあります。
ロンドン中心部にある駅としては、バンク駅が地上から最も深いところに位置し、深さは地上から41.4メートルです。
■5:ベーカーストリート駅はプラットフォームが10本
プラットフォーム数が一番多い駅は、10本のプラットフォームを誇るベーカーストリート駅。
ここはその名が示す通り、あのシャーロック・ホームズが住んでいた設定になっていたベーカーストリートから最寄りの駅で、5つの路線が交わっています。
■6:ロンドン地下鉄の端から端までは402.33キロメートル
ロンドン地下鉄ネットワークをのべ距離にすると、約402.33キロメートル。これは東京~大阪間とほぼ同じ距離になります。
このネットワーク内で最長の路線は、セントラル線のウェスト・ライスリップ駅からエッピング駅までで、全長54.87キロメートル。
また、ロンドンはテムズ川で南北に分けられ、雰囲気も大きく異なります。このテムズ川よりも南側に位置している駅は、ロンドン地下鉄全体のわずか10%です。
■7:1926年に初登場した自殺者防止の溝がある駅は死者数が半分
ロンドン地下鉄の線路下には、飛び込み自殺や誤って線路に落ちてしまった人が電車に轢かれないようにするための、自殺溝と呼ばれる溝がつくられています。これが初めて登場したのは1926年で、もともとは排水用の溝でした。
この溝がある駅では、ない駅と比べ死者数は半数だそうです。また、ジュビリー線のうち延長された東側にある駅では、侵入してくる電車とホームにいる乗客の接触を防止するガラスの壁がつくられています。
■8:アールズ・コート駅に1911年エスカレーターが初登場
ロンドン地下鉄初のエスカレーターは1911年、アールズ・コート駅に設置されました。
エスカレーター自体が商標登録されたのは1900年とされているので、かなり早い段階で導入されたようです。
ちなみに、ロンドン地下鉄では急ぐ人のために左側を空けておくのがマナー。関東圏とは逆になりますのでお間違いなく。
■9:ロンドン地下鉄の駅構内での演奏は2003年からライセンス制
日本でも都心では当たり前に見るようになってきた路上ライブ。ロンドンでも昔から見る光景ですが、ロンドン地下鉄構内での演奏は2003年からライセンス制になりました。音楽に自信があるからといって、駅構内で無許可演奏しないように注意しましょう。
■10:ロンドン地下鉄の全面禁煙は1987年の事件がきっかけ
世界的な禁煙の流れから見ると随分早いように思えますが、実は1987年に、キングス・クロス駅で大火災が発生し、31人が犠牲になるという惨事がありました。火災はエスカレーターにマッチを投げ捨てたことが原因とされています。
当時キングス・クロス駅ではまだ木製のエスカレーターが使用されていたため、すぐに燃え広がってしまいました。この事故をきっかけに、ロンドン地下鉄では全面的に禁煙となりました。
ロンドンを移動する際に最も効率がいいロンドン地下鉄。次回ロンドンを訪れるときには、ぜひこんなトリビアを思い出してみてください。「ここはロンドンで一番乗降客が多い駅なんだよ!」なんて、旅の仲間にちょっとした知識を披露するのも楽しいかも。
(文/松丸さとみ)
【参考】
※London Underground:150 fascinating Tube facts-The Telegraph