文章を書くのは難しいもの。特にメールでなにかを伝える際などには、ちょっとした表現が大きな誤解につながってしまうことも少なくありません。
しかし、『「一行フレーズ」で気持ちが通じる 大人の言葉遣い400』(むらかみかずこ著、KADOKAWA)の著者は、文章を書くことについて「難しく考える必要はありません」といい切っています。
必要なのは、最低限の「使ってはいけないことば」をおぼえ、読む人のことを想像しながら、感謝やねぎらいのフレーズをプラスすることだけ。
すると、「気がきくね」「文章いいよね」とほめられ、喜ばれ、仕事と人間関係がみるみる発展していくというのです。
つまり本書ではそんな考え方を軸として、ビジネスでのさまざまなシーンに応用できる400種以上のフレーズを紹介しているわけです。
特徴的なのは、「日ごろ気軽に使っていることば」と、正しい日本語にリライトされたフレーズが並列されているところ。
自分のことばづかいの悪い点が、ひと目でチェックできる構造になっているのです。
きょうは第1章「気がきく、差がつく! 『ありがとう・ごめんなさい』の伝え方」のなかから、使うことの多い「お礼のフレーズ」に焦点を当ててみたいと思います。
社会人男性が考える“素敵女子の習慣”1位は「お礼状やお礼メールをこまめに出す」です。以下のフレーズを使うと、さらに素敵女子に近付けるはずですよ。
■1:相手の親切心を表現することば
×お気づかいいただき、すみません
◯お気づかいいただき、ありがとうございます
相手の親切心を表現することばはたくさんあり、「ご配慮ありがとうございます」「ご親切に感謝いたします」なども◯。
■2:謙虚な姿勢の伝え方
×どうもです
◯おかげさまです
「おかげさま」は、日ごろの感謝の気持ちを伝える奥深いことば。「相手の存在のおかげ」「見えない力に助けてもらっている」という謙虚な姿勢が伝わるそうです。
■3:雨の日のことば
×雨の日なのに、すみません
◯足元が悪いなか、足をお運びくださり、ありがとうございます
「足元が悪いなか」とは、雨などで外を歩きにくいことを表すときに使うことば。「遠方にもかかわらず」「大雪が降るなか」など、そのときの気候や状況に応じてことばを変えましょう。
■4:時間がないときの返信
×取り急ぎです
◯取り急ぎ、用件のみにて失礼します。いつもありがとうございます
時間がないなか、慌てて返信するときは、事務的な文章になってしまいがち。しかし「取り急ぎ……」に「いつもありがとうございます」という感謝の気持ちを加えれば、急いでいてもていねいな印象に。
■5:日ごろの感謝を伝える
×おつかれさま
◯いつも仕事をがんばってくれて、ありがとう
日ごろの感謝を伝えるフレーズ。大切なのは、お互いの関係がよりよいものになることを願って書くこと。
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もちろん、これらはほんの一部。他にも、役に立つお礼のフレーズがたくさん掲載されています。
加えて、「お願いごと」「励まし・ねぎらい」「喜び・幸せな気持ち」「自分の気持ち」「時節・天気」と、さまざまな「伝え方」も。
具体的でわかりやすく、すぐに使える内容なので、大いに役立てたいところです。
(文/印南敦史)
【参考】
※むらかみかずこ(2015)『「一行フレーズ」で気持ちが通じる 大人の言葉遣い400』KADOKAWA