『日本の神さまと上手に暮らす法』(中村真著、ダイヤモンド社)は、日本人にとって身近な「神社」とのつきあい方を説いた書籍。
もっと正確にいうなら、神社の住人である「日本の神さま」と仲よくし、暮らしを整えるためのヒントを、日常的かつ実用的にまとめているのだそうです。
■神社の数はコンビニより多い?
ただ、「神さま」「神社」といわれても、漠然とした抵抗感があったり、苦手だと感じたりする人は少なくないはず。
けれど現実的に、神社はコンビニよりも数が多いのだそうです。それどころか、「人も住まない山奥にもある」という点を考え合わせれば、コンビニ以上に近い場所かもしれないと著者は指摘しています。
ところで、そんな著者も、最初から神さまや神社に興味があったわけではないのだといいます。
それどころか、10代から20代にかけては海外に魅せられ、世界中を旅していたというのですから、つまり日本のよさを考えることなどなかったわけです。
ましてや宗教に関心があったわけでもなく、いまでも特定の宗教を持っていないのだとか。
しかし、世界を見て、あるいは仕事を通じてさまざまなライフスタイルに触れるうちに、日本の神さまの存在に気づいたということ。
■神さまと仲よくするといい理由
では具体的に、日本の神さまと上手に暮らすと、なにが変わるのでしょうか?
このことについて著者は、次のように記しています。
・心がすっきりと整理整頓されます。
・食べもの、水、空気、太陽、あらゆることに感謝できます。
・神社めぐりが、より深く楽しめます。
・暮らしのなかで出会う人たちに、やさしさがもてます。
・日本人としての美しい所作と精神を取り戻せます。
・なにもなく、シンプルでありながら、無限の豊かさを味わえます。
そうなのだとすれば、多くの人々に受け入れられているオーガニックなライフスタイルとの共通点があるような気もします。
■神社の数は15万社以上もある
「コンビニ以上に数がある」神社は、全国の神社をまとめている神社本庁に登録されているだけでも8万社以上。伏見稲荷大社、日光東照宮のように神社本庁に登録していない神社もあり、小さな祠(ほこら)まで含めると15万社以上、20万社弱くらいなのだそうです。
つまり、この国に生きている限り、かなりの確率で遭遇する場所だといえます。
しかも、コンビニとの類似点は数の多さだけではありません。
悩んでいるほどでもないけれど、気持ちが晴れないとき、ちょっと立ち寄れるところ。
ひとりでぼんやりしたいとき、ふらりと行ける場所。
それがコンビニであり、神社だということ。
しかもお金を払わなくてもいいわけですから(お賽銭は入れたいところですが)、空いた時間を利用して訪ねてみるのも悪くないかもしれません。
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本書ではお参りのマナーについてもわかりやすく解説されているので、「神社に興味はあるけれど、なにをどうしたらいいのかわからない」という人も安心。
読んでみればきっと、暮らしをさらに心地よくするための場所として、神社を活用してみたくなるはずです。
(文/印南敦史)
【参考】
※中村真(2015)『日本の神さまと上手に暮らす法』ダイヤモンド社